拝啓 一ノ瀬泰造様

おひさしぶりです お元気にしていますか?
今日、久しぶりにあなたへと手紙を書こうと思い立ち、手紙を書きました。
いままでの手紙は、あなたへの興味や問いかけ、日々の報告のようなものであったのですが、
今日書いていた手紙は、本当に独りよがりで哀しい手紙でした。
泰造さんから受け取ったことを、書こうと思っていたんです。
だけど、書いていたら、"今"の泰造さんの弱さについて綴っているのです。
いない人間は、常に人の心にとどまることは出来ない。
生きている人でも、そんなこと難しい。
そういう、存在としての弱さを、書いていました。
生きていても、存在すら危うい私がです。なんて失礼な話でしょう。

けれど、そんなあなたに、様々な手紙が送られて来ていて、映像が出来上がって、それで、映画と人との関係を見る事は出来ました。素晴らしいことだと思いました。映画というものが、何故人から必要とされているのかということが、沁みてくるよう感じられます。この映画は、記録であり、あなたである。人である。
あなたとの関わり合いはじめたのも、授業だから。仕事のつもりで始めたけれど、所詮は授業でした。授業を終えたら、私とあなたの関係はどうなるんでしょう。授業活動においては、楽しいことよりも、辛いことの方が多く思い出されます。それで、本当に鬱鬱しい気持ちになるのも、ある意味で泰造さんのせいでもあると思います。もちろん全てそう感じる私の責任なのですが。それでも。
映画を見る、小説を読む、それだけだったら、きっと私の中で、あなたは英雄のままだった。熱く熱く、感動して、そしてきっと無責任に忘れて行ってしまったでしょう。
映画として、人として、作り手、売り手として、そして、映像を学ぶ人間として、あなたを見つめて付き合ってきました。あなたを通して、知りたいことがたくさんあった。試してみたいこともたくさんあった。けれど、ひとりの力なんてたかが知れています。
私はあなたの為に、命をかけることは出来なかった。

もうすぐ終わってしまう。チームオクヤマから私は離れて行きます。
ライトスタッフの今後もわかりません。
映画から離れることで、みんなは君との関係をどうするんだろう。

でも、終わる関係なんて、あるはずないって思っています。
売る人として、出会ったけれど、泰造さんと私の関係は、このまんま、続いて行くと思う。
だから、カンボジアで約束した通り、千通の手紙を持って、また会いに行こうと思ってる。
興行企画としてなんて、どうでも良い なんて言ってはいけないのだけど、それで良い。

約束した相手がこの世にいなくても、果たさないと。手紙を送り続けます。
たとえ千通の手紙の8割くらいが自分の手紙になったとしても、私はあなたに、また会いたい。

オガワリノ
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by 1000-tegami | 2007-11-21 03:00 | オガワ リノ


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